エンバーミングとは、亡くなられた方のご遺体に対して、防腐・消毒などの専門的な処置を行い、葬儀までの一定期間、生前に近い状態を保つための技術です。
この処置は、資格を持つエンバーマー(エンバーミング技術者)によって、専用の施設で行われます。
日本では法律上の義務ではなく、すべてのご葬儀で行われるものではありません。
あくまで、状況や希望に応じて選択される処置です。
近年火葬までの時間が空くため葬儀業者からの提案(営業)が増えてます
エンバーミングの目的
エンバーミングの主な目的は、次の3点です。
- ご遺体の腐敗進行を抑えること
- 衛生面・安置環境を安定させること
- お別れの時間を落ち着いて持てる状態を保つこと
「見た目を整えるため」だけではなく、保存・管理を目的とした処置である点が特徴です。
エンバーミングの流れ
一般的な流れは次のようになります。
① 葬儀社・医師を通じた判断と説明
葬儀までの日数、搬送距離、季節(気温)、安置環境などを踏まえ、
エンバーミングを行うかどうかが検討されます。
必要性・費用・注意点について説明を受けた上で、家族が判断します。
② 専門施設への搬送
エンバーミングは、通常の自宅や斎場では行えません。
専用のエンバーミング施設へご遺体を搬送します。
③ エンバーミング処置の実施
処置内容には、主に次のような工程が含まれます。
- 血液の一部を防腐液に置き換える処置
- 消毒・防腐による衛生管理
- 必要に応じた整容(お顔まわりの調整など)
医学的・衛生的な管理を目的とした処置であり、
儀式的な意味合いはありません。
④ 処置後の安置・ご葬儀へ
処置後は、ご自宅や斎場で安置され、通常の流れで葬儀・火葬が行われます。
どのような場合に選ばれるのか
エンバーミングは、次のようなケースで検討されることがあります。
- 葬儀までに数日以上の時間が空く場合
- 海外・遠方への搬送が必要な場合
- 夏場など気温が高い時期
- ご家族が落ち着いてお別れの時間を持ちたい場合
一方で、短期間で火葬を行う場合や、安置環境が整っている場合には不要なことも多い処置です。
湯灌・納棺との違い
エンバーミングと混同されやすいものに、「湯灌(ゆかん)」や「納棺」があります。
- 湯灌・納棺
→ お別れのための身支度・儀式的な行為 - エンバーミング
→ 保存・衛生管理を目的とした専門処置
目的も性質も異なるものです。
知っておきたい注意点
- 実施できる施設・技術者が限られている
- 追加費用が発生する
- 宗教・宗派・考え方によっては選択されない場合がある
- 必須ではなく、行わなくても葬儀は問題なく行える
「勧められたから行う」というものではなく、
状況と考え方を踏まえて判断する処置といえます。
まとめ
エンバーミングとは、
- ご遺体を一定期間安定した状態で保つための専門処置
- すべての葬儀に必要なものではない
- 状況に応じて選択される選択肢のひとつ
です。
大切なのは、
「何のために行うのか」「本当に必要か」を理解した上で判断することです。